気になる嫁さん(きになるよめさん)は、日本テレビ系列で放送されたホームドラマである。放映期間は1971年10月から1972年9月にかけてで石立鉄男&ユニオン映画シリーズの第2作目となる。ただし主演は、この作品でアイドル的な人気を博した榊原るみである。
メインキャストには佐野周二、水野久美、浦辺粂子などの映画出身のビッグネームの他、山田吾一、冨士眞奈美、山本紀彦などの石立ドラマおなじみの芸達者なメンバーが揃っている。
その知名度では、『パパと呼ばないで』『雑居時代』などにやや及ばないが、俳優陣の充実とコミカルな脚本演出が光るシリーズである。
放送データ
放送期間:1971年10月6日~1972年9月20日
放送時間:毎週水曜日 20:00~20:56
放送回数:全40回
製作媒体:16ミリフイルムカラー作品(撮影は35ミリフィルム、放送時16ミリ...
天下の嶮といわれる箱根山はまたケンカのケンでもある。勢力を張り合う西郊鉄道と南部急行の長年にわたるイザコザから旅館同士の反目まで……。足刈にある二軒の旅館、玉屋と若松屋は血縁同士なのに先祖代々百五十年間というもの犬猿の仲。玉屋の女主人里は、九十にとどこうという年だがカクシャクたるもので、大番頭小金井と温泉を掘りあてようと若松屋に対する敵意をかきたてている。一方、若松屋の主人幸右衛門はインテリで考古学に凝り、旅館稼業にはあまり熱を入れてないのだが、こと玉屋に間しては対抗意識がもえあがる。ところが、こともあろうに幸右衛門の一人娘明日子の家庭教師に玉屋の若番頭乙夫を頼まねばならぬハメになった。乙夫はあいの子だが、里に育てられ玉屋の跡つぎにと期待されている。若い二人は大人たちのメンツなどどこ吹く風、いつか心を通わせるようになった。夏場をひかえたある日、玉屋か...
関東大震災の直後。帝大学生古川は、累々たる瓦磔の中に上野五重塔の雄姿を見て、祖先が残した耐震技術の偉大さを知った。それから四十年、その時の感動は、古川東大教授を、耐震建築の世界的権威にまで育てあげていた。鹿島建設会長は、日本の都市問題解決が超高層ビルの建設以外にないと信じ、彼に生涯の夢を託した。古川は佐伯構造設計課長らと共に、柔構造超高層ビルの設計にとりかかった。そして、世界に先がけH型鋼を採用、風洞、耐火等数々の実験を行なった。公開実験は成功、活動の主体は設計部門を離れて江尻、松本らの率いる現場建設部門へ移った。鉄骨組立ては台風シーズン前までに完了しなければならない。タワークレーンを操縦するオペレーターの島村もトビ職の小森も誇りをもって、仕事に挑んだ。ある日、出稼作業員の星野がナットを何気なく投げ捨てた。しかし、それは爆発音とともにトラックに大穴...
森製作所の社員であった立春大吉は、シベリアから復員したが、会社は東洋電機製作所と名称を変え、社長の森信吾は総務部長となっていた。終戦のどさくさに社の株券の大半を大和機械の岡崎に握られたからである。大吉は、社長秘書の日高聖子はじめ森派の社員達に帰還を歓迎され、岡崎一派との対決を決意した。或日、先代森社長の銅像の取払われた跡に、誰かがビゼン焼の狸を立てた事で、タヌキという仇名の赤座社長が怒って、これを撤去させるという事件があった。その数日後、大吉等は今度は先代社長の銅像を立てて、折から視察に現れた岡崎に森社長の復帰を迫ったが一蹴されてしまった。大吉は聖子と共に、闇ブローカーから商事会社の社長となった親友の杉村を訪れ、善後策を相談した。その頃証券処理法の制定で、東洋電機の株も一般に放出されることになった。資金集めに苦慮する大吉を見て、日和見主義者の柳川が罪...
夫妻に子供二人、それと夫の姪マリ子の五人世帯の切盛りだけでも大へんなのに、突然遠縁だという平太郎青年を夫が連込み、当分の間おいてやれという。道代夫人はひそかに音をあげた。さすがに見かねてか、夫が雇ってくれた女中の名はテル、田舎出の天真爛漫な娘だけれども、それだけに万事手をとって教込まねばならない。やはり忙しいのである。するうちに夫が月給袋を落してくる、という不祥事だ。酔ったからさ、とわりに平然たるご本人にくらべ、道代夫人の胸はもう一杯、口も利けない。毛糸編みの内職など始めてみたが、ものにならず、女の力なんてこんなものだろうかと情なさが加わるばかりだった。俄か雨で駅に夫を迎えに出るついで、近所の大野さんの傘ももっていってあげたことが、意外に夫の不快を買い、そのいざこざがはね返っては大野夫人の嫉妬沙汰に及び、いやな日が続いた。家が面白くないせいか夫が会社...