1945年、進駐軍に占領された横浜の街を、モロッコの辰は我が物顔で闊歩していた。辰のもとには、その自由な生き方に憧れたイキのいい若者たちが次々と集まっている。辰に因縁をつけて反対に叩きのめされ、舎弟となった塚本もそのひとりだ。ある夜、ふとしたきっかけからダンスホールでGIと喧嘩になった辰たちは、その場に野毛の沢田がいながら見て見ぬふりをしていたことを知り、沢田を脅して大金をせしめようとする。沢田はハマの小鉄に泣きついて、横浜を辰の言いなりにさせていいのかとたきつけた。そのころ、横浜愚連隊四天王と呼ばれる、辰と辰の兄弟分迫水吾郎、井山栄一の3人は、残るひとり、森大助が刑務所から出所した祝いの席をもうけていた。その場にのりこんできた小鉄は四天王が揃っているのを見るや、沢田を辰に引き渡して、そのまま祝いに参加するのだった。喫茶店のウエイトレス藤枝に惚れ...
ひかり銀行大阪中央支店の次長安斉は、ある大口の顧客の預金を使い込んでマネーゲームに溺れ、多額の損失を出してしまった。そのことが顧客にバレ、彼は崖っぷちに追い込まれてしまう。1億だけでも1週間以内に用意しなければ、訴えられることは必至であった。そこで、安斉は詐欺を働いてヤクザの資金を横取りすることを思いつく。ひょんなことから知り合った、飲む打つ買うの3拍子揃った借金まみれの水沼警部補と、店の資金繰りに困っているスナックのママ怜子を仲間に引き入れた安斉は、ヤクザと裏で通じている悪徳不動産会社戎興産を詐欺にかけることにした。その計画は、規制ばかりでどうしようもない土地を戎興産から購入した後、「数年後に京都サミットが予定されていて、辺りの土地が値上がりする」とのガセネタを彼らにつかませるというものである。安斉の計画通り、ガセネタをつかまされた戎興産は慌...