「寅の会」なる句会が開かれる。これは表向きは句会を装いながら、実は金で殺しを請け負う殺し屋(仕置人)たちの会合であった。俳句の中に標的となる人間の名前が織り込まれており、その句が詠まれた後、ここに集った仕置人たちが殺しの依頼を競り落としていく。その会合の中には念仏の鉄もおり、巳代松、正八(火野正平)、おていに自分を加えた4人でチームを組み、「寅の会」で競り落とした仕置きを行っていた。
そんなある日、句会でかつての仲間、中村主水の名が詠み上げられる。主水は仕業人から足を洗った後、囚人の牢破りを未然に防いだ
時は何事もなく静かに流れていく。佐倉静江の妻の座も平穏そのものである。静江の友人で名古屋に住む正子は、静江をアリバイ工作に利用しては浮気のために月に数回上京してくる。その正子の浮気の相手が、瀬木明だと知った静江に、かすかに嫉妬の思いが走った。瀬木は高校時代、陸上選手として“千五百米x分xx秒”に人生の全てをかけた男だった。数日後、静江は瀬木と会った。彼は捕獲器に巨大なネズミを飼っていた。ネズミを水中に沈めながら「帯を解け!」と命じる瀬木をののしる静江。だが、静江は荒れすさんだ現在の彼を愛しく感じながら体をあずけるのだった。瀬木の隣人の直子の愛も屈折していた。愛情も取り引きと考える一流商社マンの夫に我慢ができず別居している直子は、彼女にまだ未練のある夫がアパートの前のブランコにゆれながら彼女の部屋をながめているのを知りながら、その部屋で別の男と情事に...
製鋼会社の営業部次長杉岡久一郎(菊池隆則)が慰安旅行中に姿を消し、死体となって発見された。刑事から事情聴取を受けることになった社員の的場郁子(岸本加世子)はアリバイを証明することができなかったが、郁子を煙たく思っているはずの後輩社員三上田鶴子(洞口依子)が代わりにそれを証明してくれていた。
南河内大学応援団親衛隊に新たに加わった富山と北口の二人は、事もあろうに応援団の命とも言うべき大団旗をタバコの火で焦がして穴を開けてしまった。そのため隊長の青田赤道は、責任をとって腹を切らなくてはならなくなったが、責任回避の一計を案じた。現在紛争中の浪華大応援団を相手に大乱闘を引き起こし、その乱闘で破れたことにしたのだった。いつも弱い南河大野球部が珍らしく決勝まで勝ち進んだために、応援団としては本職の応援をしなければならなくなった。だが、試合中の旗手を勤める青田がやくざとの喧嘩で停学中のため、富山が大団旗を持つことになった。試合がたとえ何時間にも及ぼうともだ。毎年、南河大陸上部が出場する駅伝は、各中継地点で大団旗を掲揚して、自校のランナーを応援するために、応援団はトラックに大団旗を運んでランナーより先行するのだが、幹部連中は青田を困らせようとトラックを...
翻訳家のレイコ(中野良子)は羽田空港近くのアパートに住んでいる為、静かな所を探している。ある日不動産屋から連絡があり、西沢満智子(宮下順子)の住んでいるマンションを紹介された。同じ静岡県出身と行った二人は親しくなり、ある日、レイコは満智子から夜会おうという電話を受ける。ところがその晩満智子はやって来ず、翌日満智子は首吊り死体となって発見された。レイコは満智子の自殺に疑問を持つが、満智子は1ヶ月ほど前にも同じ場所で自殺を図っていた為、警察は自殺と判断していた。レイコは、たまたま知合った医者の桜田(黒沢年男)と共に真相を探り始める。
日本でも有数のサーフィンのメッカとして知られる南紀州の新宮。地元の高校生である高岡と星野は、都会から来たマナーの悪いサーファーたちの車をパンクさせたりナンバーを曲げたりして、隣の漁港に住む山口と意気投合。三人で食堂に集まりサーフィンの話で盛り上がった。高岡と星野はサーフィン全日本選手権への出場を勧めるが、母子家庭の山口は母親と自分の仕事を理由に断念する。食堂の一人娘で山口に想いを寄せる春江は、離婚した母に引き取られ大阪へ移ることになり、山口に「好きだった」と告白し町を去っていった。山口は整備工場に転職し働いていたが、社長と口論し工場を辞め、湘南で行われるサーフィン大会への出場を決意する。