ある朝、トラック運転手が道路を走行中、右反対車線大型トラックの陰から反対車線に向かって、トラック運転手の方向に一台の乗用車が突っ込んできた。 クラクションを鳴らしたが、止まる気配はなく正面衝突事故となる。この事故で夫の自家用車を運転していた、妻宮下貴美子(松下由樹)と助手席の長女カオリは一命を取り留めたが、 後部座席の長男ダイスケは死亡した。検察側はこれを運転手、貴美子の無理心中とした。貴美子の娘、カオリは重度の自閉症で、貴美子はその事を悲観し無理心中に至ったと見なしたのだ。
貴美子の夫である、大蔵省のエリート官僚宮下孝(平田満)は、その腕では評判の弁護士伊丹秀一(北大路欣也)に、 妻貴美子の弁護を依頼する。貴美子は検察の取り調べに対し、無理心中を認める発言をしていた。 弁護士伊丹は貴美子に接見するが、貴美子は心を深く閉ざし何か隠しているよ...
目明かし時代の浜吉の上役井島の妻が金欲しさからヤクザの妾に。井島は、妻への恨みからヤクザ一家と騒動を起こすが、ついには捕り方まで斬り、殺人犯となってしまう。浜吉は涙を呑んで井島を倒す覚悟を決める。
東映が1951年(昭和26年)の創立以来30周年を迎えたことを記念して製作。片岡千恵蔵、市川右太衛門、萬屋錦之介、大川橋蔵のインタビューを織り交ぜながら、東映の昔のチャンバラ映画を集めて分類し再構成した映画。本作のプロデューサー東映の豊島泉は「僕だけで200本くらい見たけど、やっぱり一番フューチャーしたかったのは沢島忠監督やったね。ずば抜けて面白かった。沢忠さんというのは、日本映画史の中からすごく欠落している人なんやな。誰かちゃんと評価せんともう忘れ去られると思う。僕らの世代がギリギリ子どものとき見た世代やし。今見てもその感覚は今的やもんな」などと1985年のインタビューで述べていた。
1972年(昭和47年)に劇場用映画の監督を引退したマキノ雅弘は、引退後、テレビ映画の監督を同名義で行っていたが、本作の総監修を機に「マキノ雅裕」と表記を改名した。...
或るレストランの中。戸川恵美子は高校時代のクラスメートに取り囲まれている。彼女が明日、結婚式を挙げるというので、お祝いの最中なのである。しかし皆恋愛結婚なのに、自分だけが見合結婚かと思うと、恵美子は何となく気がひけて仕様がないのだ。もっとも、彼女にひそかに想いを寄せている男性もいないではない?さて、こちらは酒場「キャット」のスタンド。ハイボールなど呻っているのは他でもない恵美子と結婚する当の相手、笹田国彦である。彼も、バーのマダムから「あなた、本当は前にいたハルちゃんが好きだったんですって……」と言われても、一言もない経歴の持主ではある。マダムからハル子が甲府にいると聞いた笹田は、「オレは人生に悔いを残したくない」とばかり、甲州街道を甲府へ向って車をとばした。一方、恵美子もクラスメートから「恋愛の経験がないのは、生活しないのも同然だわ」と言われて、転...