無国籍料理のレストランで働く従業員達はバイトリーダー米倉のもと、一見仲良さそうに振舞っていた。しかし、お互いの心の中はわからない。ある日、店長が翌日の社長の会食のために、社長が大切にしている手の置き物を持ってきて飾った。その夜、従業員達はみんなでビールを飲み、ワインを開けて騒いだ。翌朝、手の置き物が壊れていることがわかり、誰が壊したのだろうかと話すが、買い物に出掛けている米倉はまだこのことを知らない。
民間開拓移民の屈強な魂によって140年前に産声を上げた「帯広市」。その地を舞台に、人の想いや行動が途切れず繋がっていくことで未来が拓かれる様を描いた感動の物語。独創的なアイデアと秀でたプログラミング能力を持ちつつ、極端な人見知りで口下手の天笠航平は、3年前に最愛の妻を亡くして以来、哀しみを紛らわせるように仕事に没頭し、社交的な黒岩と立ち上げた会社は急成長を遂げた。一方、息子黎生との心と距離は離れるばかりで、家政婦の美冴に任せきりだ。ある日、元部下で帯広市の「美味しいものを作る」という志に魅了された都築からチーズが送られてくる。そのチーズと黎生が夢中の料理系YouTuber「ガストロハイク:氷川遥」が十勝にいるという情報をきっかけに、航平、黎生、美冴の3人は北海道十勝帯広へ向かう。
昭和20年1月。東京目黒に住む朝比奈家は、空襲のなかで不安な日々を送っていた。朝比奈家は、母親の絹江(岸惠子)と娘3人の4人暮らし。軍医だった父親は前年、ビルマで戦死。母親の心中を察する長女真琴(清水美砂)は、軍人小田切(椎名桔平)との恋を打ち明けられずにいた。
そんなある夜、一家の元に浦島壇吉と名乗る男(小林薫)が現れた。絹江の亡夫と同じ部隊で世話になっていたという。絹江は夫の知人として歓待するが、真琴たちは戦地の話題になるとごまかす壇吉を信用できずにいた。それ以来、壇吉は一家を守るのが自分の使命だと話す。ところが、真琴は壇吉が室内を漁る空き巣まがいの行為を目撃。真琴は出ていけと怒鳴るが、絹江は壇吉をかばい続ける。
昭和20年3月10日の東京大空襲で焼け出された中島咲(岸惠子)は、娘の今日子(清水美砂)と未来子(田畑智子)と共に、芸者仲間だった静江(藤村志保)を頼り埼玉にやってきた。料亭を営む静江から家を貸りて親子三人で暮らし始めるが、血の繋がりのない咲と今日子は喧嘩が絶えなかった。そこへ芸者見習いの敏子(松居直美)と秋代(内田春菊)に加え、料亭の元従業員定子(戸田菜穂)までが同居することになる。
ある日、咲は静江の甥で士官学校幹部柳史郎(小林薫)と再会した。20年前、恋人同士だった二人は互いに心が揺れ動く…。
昭和14年。夫を戦地で失った寺崎かなえ(田中裕子)は、今は東京池上にある実家で母親里子(加藤治子)たちと生活している。かなえの弟庄一郎(勝村政信)は亡父と同じ商工省に入り、末っ子の菊江(田畑智子)はまだ女学生だ。ある日、かなえは津雲浩太郎(石堂淑朗)という初老の男が捨てていった原稿用紙を拾う。従兄弟の修造(萩原聖人)によれば、津雲は元大学講師で左翼の理論的指導者だった。だが、獄中で転向を宣言してからは娘滝子(小泉今日子)と世間の目を逃れるように暮らしているという。気になったかなえが原稿に目を通すと、それは書きかけの童話だった。結末が知りたくなったかなえは津雲の住所を調べて、彼を訪ねる…。
昭和15年。東京池上で神林里子(加藤治子)は3人の娘たちとつつましく暮らしている。最初の夫との死別のあと、彼女は順造(小林薫)と再婚したが、彼は17年前に失踪し行方不明になっていた。里子は近所の娘たちに裁縫を教え、長女のみさお(田中裕子)は嫁いで数年で夫が病死、今は実家に戻っていた。そんなある日、順造がひょっこり家に戻ってくる。