1986年に放送された人気劇画のドラマ化第2弾。サブちやんこと流山三郎(小林薰)は、新宿面相組の組員。腕節は強いし、女にもモテる。アパトには天真爛漫な美人妻.恋子(田中裕子)がいて、二人はまだ新婚気分の甘い関係だ。
ベストセラー小説「地上」の作者だった島田清次郎が思想弾圧の結果、投獄されたという仮説でドラマ化。途中から主人公のたどる人生と一致したのか、ストーリー展開も迷い気味だったが、迫力ある展開で印象に残る一編。
昭和20年1月。東京目黒に住む朝比奈家は、空襲のなかで不安な日々を送っていた。朝比奈家は、母親の絹江(岸惠子)と娘3人の4人暮らし。軍医だった父親は前年、ビルマで戦死。母親の心中を察する長女真琴(清水美砂)は、軍人小田切(椎名桔平)との恋を打ち明けられずにいた。
そんなある夜、一家の元に浦島壇吉と名乗る男(小林薫)が現れた。絹江の亡夫と同じ部隊で世話になっていたという。絹江は夫の知人として歓待するが、真琴たちは戦地の話題になるとごまかす壇吉を信用できずにいた。それ以来、壇吉は一家を守るのが自分の使命だと話す。ところが、真琴は壇吉が室内を漁る空き巣まがいの行為を目撃。真琴は出ていけと怒鳴るが、絹江は壇吉をかばい続ける。
昭和20年3月10日の東京大空襲で焼け出された中島咲(岸惠子)は、娘の今日子(清水美砂)と未来子(田畑智子)と共に、芸者仲間だった静江(藤村志保)を頼り埼玉にやってきた。料亭を営む静江から家を貸りて親子三人で暮らし始めるが、血の繋がりのない咲と今日子は喧嘩が絶えなかった。そこへ芸者見習いの敏子(松居直美)と秋代(内田春菊)に加え、料亭の元従業員定子(戸田菜穂)までが同居することになる。
ある日、咲は静江の甥で士官学校幹部柳史郎(小林薫)と再会した。20年前、恋人同士だった二人は互いに心が揺れ動く…。
昭和20年、目黒にある雨宮家では母佳代(岸惠子)と、3人の娘が暮らしている。すでに父は亡く、長男浩一(筒井道隆)は2年前に出征したまま音信不通だ。近所に叔父辰夫(藤田敏八)がいるものの、女所帯では何かと心細い。時折、家には娘たちの知らない女性お春(江波杏子)が訪ねてきた。お春は佳代の弱みにでもつけ込むように、金目のものを要求。お春の言いなりになる佳代の気持ちを、娘たちは理解できずにいた。
長女の文子(清水美砂)は佳代が見知らぬ男性と写っている写真を見つける。文子は写真の男性が浩一と関わりのある人だと直観した。一方、浩一の親友須藤(椎名桔平)は、入手が困難な食料を渡しながら、女所帯の力になっていた。須藤は文子を愛しているのだ。文子はその須藤から「浩一は内地に戻っているかもしれない」と聞く。
昭和14年。夫を戦地で失った寺崎かなえ(田中裕子)は、今は東京池上にある実家で母親里子(加藤治子)たちと生活している。かなえの弟庄一郎(勝村政信)は亡父と同じ商工省に入り、末っ子の菊江(田畑智子)はまだ女学生だ。ある日、かなえは津雲浩太郎(石堂淑朗)という初老の男が捨てていった原稿用紙を拾う。従兄弟の修造(萩原聖人)によれば、津雲は元大学講師で左翼の理論的指導者だった。だが、獄中で転向を宣言してからは娘滝子(小泉今日子)と世間の目を逃れるように暮らしているという。気になったかなえが原稿に目を通すと、それは書きかけの童話だった。結末が知りたくなったかなえは津雲の住所を調べて、彼を訪ねる…。
昭和15年。東京池上で神林里子(加藤治子)は3人の娘たちとつつましく暮らしている。最初の夫との死別のあと、彼女は順造(小林薫)と再婚したが、彼は17年前に失踪し行方不明になっていた。里子は近所の娘たちに裁縫を教え、長女のみさお(田中裕子)は嫁いで数年で夫が病死、今は実家に戻っていた。そんなある日、順造がひょっこり家に戻ってくる。
東京愛宕山にある池谷石材店は江戸時代から続く老舗。当主の常吉(森繁久彌)は腕利きで知られた職人だが、老いた今は弟子たちの仕事を監督するだけだ。常吉の息子はとき(加藤治子)と結婚して、響子(田中裕子)と信子(洞口依子)という二人の娘をもうけた後、他界していた。秋に入って常吉が世を去った。職人の中で店の看板を守れる腕があるのは省三(小林薫)だけだが、妻道子(金久美子)と別居中で酒乱の省三に店は任せられない。さらに響子の夫慎太郎(筒井康隆)は、病で寝たきりの状態だ。ときは今取りかかっている神社への奉納仕事を終えたら、店をたたむつもりだった。常吉に後の仕事を任されたと言い張る省三は、最後の仕事に精を出した。しかしその一方で、省三は酔って響子にからみつき、半ば強引に彼女の気持ちの中に入っていった。
原沢家の長女絹子(田中裕子)が母里子(加藤治子)の看病を口実に実家に戻ってきた。絹子の夫安村は1年前に中国で戦死し、今は義弟公作(鶴見辰吾)との再婚話が持ち上がっている。次女晶子(小泉今日子)は出版社に勤め、末っ子の愛子(林美穂)はまだ女学生だ。家長であるはずの父浩二郎(菅原謙次)は1年半前に出奔したきり音信不通で、一家の生活は浩二郎の弟浩三(藤田敏八)が面倒を見ている。
そんなある日、晶子が女連れの浩二郎を見かけたと絹子に打ち明けた。絹子と晶子は里子に内緒で浩二郎を待ち伏せし、その家を探し出す。突然訪れた二人の娘に驚きの色を隠せない浩二郎。久々に再会し家族の現状を語る娘に、浩二郎は身勝手を詫びるが…。